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1.東洋医学による顎関節症の治療

顎関節は、正常な状態ではモワモワと動いている(=気が流れている)。顎関節症患者は、この動きが部分的に止まっている。現時点までの研究では、下顎の最下端の点周辺の気が止まっていることが共通している。また、上顎が腎虚で萎縮したり、脾虚で変形したりし、上顎の気の流れが極端に悪い場合が多い。頭蓋骨全体も腎虚で萎縮し、脾虚で変形しているため、可動性が正常の人と比べると、極端に悪くなっている場合が多い。

下顎の最下端の点周辺の気が止まると、その対応点である下顎頭の耳側の部分の気の流れが悪くなったり、気が止まったりする。また、下顎の最下端の点周辺の気が止まると、任脈の気の流れが悪くなり、任脈に沿って肋骨の可動性が悪くなり、同時に肋骨と繋がっている背骨の可動性も悪くなる。

人によっては、頸椎1番の気が止まり、連鎖して、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎などに気が流れなくなる。このとき、椎間板が萎縮して硬くなるので、椎間板から出て内臓を支配する神経が圧迫され、内臓の機能低下が起きて、自律神経失調症と言われる様々な症状が出ることがある。

頸椎の7番を緩めると上顎が柔らかくなって、上顎の可動性が改善し、頸椎の3番を緩めると下顎が柔らかくなって、下顎の可動性が改善する。同時に、胸部にある肋骨の可動性や頸椎、胸椎、腰椎、仙椎などの可動性が改善する。また、頭痛や首、肩の凝り、耳鳴り、腰痛などの症状がその場で改善することがある。咬み合わせに違和感がある場合は、頸椎の7番と3番を治療することで上顎と下顎が柔らかくなるため、咬み合わせが自然に改善し、違和感が消失することが多い。また顎関節そのものが柔らかくなるので、顎関節や顎関節周辺の痛みは、改善するか消失する場合が多い。

この改善した状態は、翌日起きたときや数日後に元に戻ってしまうことがある。顎関節症患者の多くは腎虚によって、全ての関節が萎縮して硬くなっていることが多いので、夜間や風邪を引いて腎機能が低下したときに、頸椎の関節が萎縮して捻れ、ロックしてしまうためである。改善した状態を長期にわたって保つには、東洋医学的な方法で腎機能を上げ、骨や関節を柔らかくする必要がある

2.顎関節症と顎関節、上顎、下顎の可動性

頭蓋骨や顎関節も正常な状態では、モワモワとリズミカルに動いている。しかし、顎関節症になった人や自律神経失調症の人の顎関節は、この運動が部分的あるいは全面的に止まっている。上顎や下顎の運動も極めて微弱になり、部分的に止まってしまっている場合が多い。

 

めまいや耳鳴り、吐き気などの症状がある症例では、耳の周辺の頭蓋骨や顎関節の可動性が低下しているケースが多く、東洋医学的な治療で、耳周辺の頭蓋骨や顎関節の可動性を上げると、症状が改善する場合が多い。耳の周辺の頭蓋骨や顎関節の可動性の低下にともない内耳の可動性の低下が起こり、機能低下が生じたのが、可動性の回復に伴って機能が回復したものと考えられる。

上顎の可動性が低下し、顎関節の耳側の部分の可動性および耳周辺の頭蓋骨の可動性がほぼ失われている症例で、頸椎を緩めることで、顎関節及び上顎、下顎の可動性を上げると、頭痛、めまい、胸部の違和感、腰痛、動悸、視力の低下などの症状がその場で、著しく改善した例がある。

上顎は、胃経、大腸経、小腸経、督脈に支配され、下顎は、胃経、任脈、耳は三焦経と小腸経、(腎経)に支配されているので、上顎や下顎の微弱な運動、すなわち「気」が止まると、止まった場所を支配する経絡に対応する内臓の機能低下が生じ、様々な症状が起こることが推察される。