顎関節症と人体の可動性 渡辺東洋医学研究所

1.顎関節症と人体の可動性の概要

- 概要 -

顎関節症に伴う頭痛や首、肩の凝り、耳鳴り、手足の冷えや痺れ、動悸、息切れ、多汗症、目眩、喉や胸の違和感、不定愁訴などの随伴症状は、上顎と下顎の可動性の悪化により引き起こされた内臓の可動性の低下に伴う内蔵の機能低下で起こるものが多く、東洋医学的な治療で、上顎や下顎の可動性を上げることにより症状が改善する場合がある。

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2.顎関節症の歴史的背景

顎関節症は、関連痛を研究していた米国の耳鼻咽喉科医Costen JB. が1934年に、“A Syndrome of Ear and Sinus Symptoms Dependent Upon Disturbed Function of the Temporomandibular Joint.”というタイトルで発表した論文をきっかけに、顎関節が関係する症候群として広く知られるようになった。

以後「咬合異常が難聴、耳鳴、めまい、耳周辺の痛み、顎関節周辺の圧痛、頭痛、舌痛、舌咽神経痛、開口障害などの原因となるというCostenの仮説」に対し70年以上にわたって様々な研究と論争が行われてきた。

欧米では、歯科医だけでなく、内科医、精神科医、放射線科医などによる組織的な顎関節症の研究が行われ、 咬合異常を発症因子として重視しない考え方をとる研究者が多くなったが、顎関節症の原因は未だに解明されていない。

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3.顎関節症に関する医学的事実

米国国立の口腔顎顔面研究所(NIDCR)は顎関節症(TMD)に関して確認されている事柄を"TMJ disorders"というタイトルで米国民に公表している。 (以下概要)

(1)顎関節症(TMD) は顎関節や咀嚼筋に痛みや機能障害を起こす症候群である。
(2)顎関節症(TMD) は、何が原因で、何が最善の治療法か研究者も分かっていないので、安全で効果的な治療法が科学的に実証されるまで、咬合や顎関節に不可逆的な変化を起こす治療をしないことが重要である。
(3)顎関節症とともに、慢性疲労症候群、睡眠障害、線維筋痛、全身にわたる筋肉や軟組織の疼痛など、他の健康問題を持つ人がいるが、顎関節症と同一の原因で他の健康問題が生じているかどうかについては、分かっていない。
(4)顎関節症がどのように進行するかについては、明らかではない。
(5)顎や顎関節の障害が原因の一つとして役割をしている顎関節症はあるが、科学者が原因が分からない顎関節症がほとんどである。
(6)顎関節雑音があったとしても、痛みや開口障害がない限り、顎関節症とは言えず、治療の必要はない。
(7)関節円板の転位があったとしても、痛みや下顎の動きに問題を起こさない限りは、治療の必要はない。
(8)ストレスや歯ぎしりが顎関節症の主要な原因としての役割を果たしているかどうかについては、明確な結論が出ていない。
(9)顎関節症の治療にスプリントを長期間使用し、咬合に永久的な変化を起こしてはならないと米国国民に警告。

原文⇒"TMJ disorders"