自律神経失調症
 

    自律神経失調症(携帯用)

1.はじめに

2.西洋医学的治療法と東洋医学的治療法の長短

3.なぜ自律神経失調症は起こるのか?

4.治療例1

5.治療例2


●はじめに


<不用意>

相談&質問版に「口臭」について解答を書くまで、自分が「自律神経失調症」という言葉を不用意に使っていることに気がつきませんでした。

「クローン病は自律神経失調症の一種に過ぎない」などのように、自律神経失調症は「簡単に治る不定愁訴」というニュアンスで使っていました。

実際、自律神経失調症の8割くらいは簡単に治り、治療が2ヶ月以上かかるものはわずかなので、あまり真剣に考えたことがなかったのです。

携帯に質問を打ち込むのは大変朝行な作業なので、よほど悩んだすえ質問をしてきていると思うのですが、意外と簡単に治るものが多いのです。

ところが「自律神経失調症です」と書いたとき、回答を読んでいる人の中には「自律神経失調症では、簡単には治らない」と思う人がいることに突然気がつきました。

それで、自律神経失調症について、あれこれ考えているうちに、病名索引を作っていたときに、「自律神経失調症という言葉がやに多い」と思ったことを思いだし、突然「気功整体根治療術」は「自律神経失調症を治すための治療体系」であることに気がつきました。

自律神経失調症というのは、「患者さんの訴える症状が起こる原因や症状そのものをお医者さんが確認できない」という特徴があり、そのため精神的なものだと疑われ、精神安定剤や心理療法が行われています。

ところが脈診ができれば、「患者さんが胃が重苦しい」と感じているときには、胃経が止まっているし、気が分かる人なら、お腹に手をあてれば、胃が動いてないのが分かります。

要するに患者さんが訴える症状が確認できるのです。

治療して脈や気に変化がなければ、治療した瞬間に問題が分かります。胃に気が流れれば、その場で胃が楽になります。まさに「気功整体根治療術」は「自律神経失調症」を治すための治療体系だったのです。

それで自律神経失調症のコーナーを作ることにしました。

真剣に自律神経失調症に取り組んでいる治療家の中には、治療法で悩んでいる人がいると思うのですが、分かる範囲でアドバイスをしたいと思っています。


 

●西洋医学的治療法と東洋医学的治療法の長短



[現代医学]

@お医者さんに「自律神経失調症だ」言われたら、「疲れやすい、だるい、手足が冷える、胃に不快感がある、めまいがする、手足が冷える、動悸がするなどの原因不明の自律神経性愁訴があるが、気管支瑞息、過換気症候群、神経性咳嗽などの心身症とは異なり、精神性愁訴があまりない病態に分類される」という意味です。

A自律神経性愁訴というのは、(1)症状に関わる身体的な疾患が見つからない(どうしてめまいや頭痛などの症状が起こるのか医学的に説明できない)(2)内臓を支配する自律神経のバランスが崩れることが関係しているのではないかと推測される症状のことです。

B治療法としては、
(1)自律神経を直接治療しない
(治療法が分かっていない)
(2)抗鬱剤や抗不安剤を使う
(3)生活習慣に関する指導
(4)心理療法などです。

C長所:
(1)保険が利く。

(2)医師間の治療技術差が比較的少ない。

D短所:
(1)医師が患者の問題点を確認できない。例えば、「胃が痛い」と患者さんが言わなければ、胃に問題があるかどうか分からない。また、治療の結果、症状が改善されているかどうかも確認できない。

(2)内臓の機能低下を治す方法がない。

 

[整体]
@整体やカイロは関節の可動性を診断し、可動域が制限されている場合、制限を取り除く。

A関節の可動性は内臓の可動性と連動しているので、可動域を広げることによって、不定愁訴が改善されることがある。

B長所:
(1)交通事故やスキーの転倒などで、関節が大きくねじれた場合、漢方や鍼灸の治療では十分な変化を与えられないが、整体系の治療は、実際に力を加えて、機能回復に必要な変化を起こすことができる。

(2)比較的短時間で治療ができる。

C短所:
(1)内臓を診断する方法がない。

(2)内臓を治療するには、関節全体の可動性を治療する方法では、大雑把過ぎて、症状を改善するのに必要な変化を起こせない場合が多い。(例えば、「手の小指の爪の周辺の外側に問題が生じると小腸に問題が生じ、内側に問題が生じると心臓に問題が生じる」という事例に見られるように、内臓のコントロールには、1mm単位の違いが問題になるような場合があるからです。)

 

[漢方]
@漢方では、西洋医学と違い、四診(望診、聞診、問診、切診)によって診断し、その結果(証)に基づいて、柴胡加竜牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などの漢方薬を処方する。

A長所:
(1)患者の体質、体型、症状などから、患者に適した薬を見つけるための理論と数千年の歴史に基づくデーターがある。(これが現代医学に勝る点であり、心療内科などで漢方薬が用いられる理由だと思われる。)

(2)化学薬品に比べて、副作用が少ない。

B短所:
(1)患者の問題を薬剤師が直接確認できない。

(2)原因を特定できない。

(3)そのため、薬が効く人と効かない人が出てくる。

(4)治療に時間がかかるため、効くか効かないかわからず、長期にわたって飲み続けなければならない。

(5)交通事故やスキーの転倒などで、関節が大きくねじれたのが原因で不定愁訴が現れた場合、漢方薬では対処できない。

 

[鍼灸]
@脈診を習得した鍼灸の治療家は、不定愁訴を直接確認することがでる。

例えば、「胃が痛い」と言う人の脈を診れば、必ず胃経の脈に問題が起こっている。

治療後、もう一度脈を診て、変化がなければ、治療が間違っていたことが分かり、脈が正常になっていれば、痛みは消えている。

A長所:
(1)脈診で問題がわかる病状に対しては、確実に効果のある治療をすることができる。

(2)治療直後に効果を確認できる。

B短所:
(1)脈診をマスターした鍼灸家が少ない。

(2)脈診による治療点は一種のマニュアルに基づいて決められ、原因を特定したり、原因を取り除くことが行われないので、数日すると症状が戻ってしまうことが多い。

(3)交通事故やスキーの転倒などで、関節が大きくねじれた場合には、元に戻すのが難しい。

 

[気功整体根治療術]
@脈診により、問題を確認し、原因を見つけ、取り除くことができる。例えば、胃経に問題があれば、胃経上のどこに問題を起こしている硬結があるか特定し、硬結を溶かす。

Aすると体のねじれが取れ、内臓の機能が回復する。

B 長所:
(1)脈診により患者の問題を把握し、確実に効果のある治療をすることができる。

(2)原因となっている硬結を完全に緩めれば、症状が再発しない。

(3)治療直後に効果を確認できる。

(4)交通事故やスキーの転倒なので、関節が大きくねじれた場合なども治療できる。

C 短所:
(1)現在この治療ができるのは、私(渡辺)しかいない。

(2)治療費がやや高い(1回一万円)。
(目の不自由なマッサージ師、鍼灸師の職域を侵したくないので、あえてこの値段にしています。各種の治療を試みても治らなかった方で、現在支払能力のない人は相談に応じます。)

 

[その他の治療法]
@頭蓋仙骨治療法、内臓マニュピレーションやモーションパルペーションをマスターしたオステオパシーの上級レベルの治療師は、一般のカイロや整体の治療師より、技術レベルは高いことが多いのですが、オステオパシーの治療師が、神様と拝むような世界でトップレベルの治療家が、鍼を使うと言う事実から見ても、オステオパシーも他の整体と共通した問題点を抱えているように思われます。

A東洋医学系の治療家の中には、額関や頚椎、仙骨など特定の部門を専門に治療される方がいます。

そういう治療は特定のタイプの自律神経失調症に有効ですが、すべての自律神経失調症が治せるわけではありません。

確かに、額関や頚椎、仙骨のどこかに問題があれば、自律神経失調症になるし、その部分を治療しなければ、治らないのも事実です。

しかし額関や頚椎に問題が生じるのは、転んだりして直接額関や頚椎に力がかかった場合だけではありません。

例えば、ひどい突き指をしても、しばらくすると、額関節や頚椎に問題が生じます。

こういう場合は、原因となる突き指をした指を治療しない限り、自律神経失調症は完治はしません。

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●なぜ自律神経失調症は起こるのか?



1. 自律神経失調症には原因がある
2. 吸引分娩と帝王切開
3. 気と自律神経失調症
4. 脈診と気
5. 腎と自律神経失調症
6. 膀胱経と自律神経失調症
7. 心臓と自律神経失調症
8. 三焦経と自律心経失調症
9. 治療の難易

 

1. 自律神経失調症には原因がある

自律神経失調症には必ず原因があります。

例えば、KMさん(女性、38歳)の場合、7、8年前から腰痛があり、「冷房にあたると体調が崩れ、気持ちが悪くなる」という症状が出るようになっりました。

彼女の場合、10年ほど前にした足首の捻挫が原因で、右足の小指から発する膀胱経と腎経が虚していました。

膀胱経は膝の裏で二本に分かれ、背骨の両脇を上がって行くのだが、右側の膀胱経が虚して、右腰の筋肉が硬くなると、腰がゆがんで腰痛が起こります。

すると脊柱も同時にゆがんで自律神経系に問題が生じます。

一般的に35歳ぐらいから腎機能が大きく低下し始め、連動して肝機能が低下するので、筋肉が萎縮し,
体全体が縮み始めます。

こういう状態で風邪を引くと、腎機能と肝機能がさらに低下し、体が大きく縮もうとするのですが、骨が縮まないために、肘や膝、足首などの関節がねじれて行きます。

KMさんのように過去に捻挫をしていると、「足首がロックして、膀胱経と腎経のきの流れが止まり、右足のふくらはぎや右腰の筋肉が突然硬くなる」ということが起こります。

内臓が強い人は、風邪が治れば元通りになるのですが、内臓の機能が低下していると、足首がロックして体がねじれたままの状態になってしまうのです。

KMさんの場合、10年ほど前にした捻挫が自律神経失調症の原因でした。

このように自律神経失調症が起こるには、必ずそれに先だって、捻挫、骨折、突き指、打撲、手術、吸引分娩など原因があります。

 

2. 吸引分娩と帝王切開

[仮死状態で生まれた人]
仮死状態で生まれた人は、一見健康そうに見えても、原因不明の問題を抱えています。

幼児期には病気がちで、成長に伴って健康になって行きますが、思春期に入ろうとする頃、わけのわからない病気になることがあります。

治療をすると激しい好転反応があるのも特徴です。

正常な人の筋肉や関節は、日周期でモワモワ揺れながら広がったり閉じたりしています。

朝の4時ごろが、体は一番縮んでいて、暖かくなるにしたがって開いて行きます。

この運動がスムーズに行われるために、筋繊維は一本一本のがずれるようになっているし、関節もスムーズに変形できるような構造になっています。

ところが仮死状態で生まれた人は、頭蓋骨を始めとして関節や筋肉が未発達で、軽い癒着を起こしています。

このため、気の流れが悪く、内臓はその機能を十分発揮できません。

治療によって体のゆがみを取ろうとすると、癒着した部分が抵抗して、激しい好転反応が起こります。

思春期に入ろうとするときに問題が起こるのも、この癒着のせいです。

[吸引分娩で生まれた人]
吸引分娩は、「分娩の作業を効率的に行いたい」という病院側の都合と「母体に負担をかけたくない」という患者側の要望があいまって、頻繁に行われているようですが、吸引分娩という不自然な方法で生まれた人は、成長した後、それが原因で自律神経失調症になることがあります。

胎児は押し出される形で生まれのが正常であり、これで問題が起こるような遺伝子を持つ人は、類人猿が出現してからの数百万年にわたる人類の進化の過程で自然淘汰されてしまっている。

反対に、頭を引っ張られたとき、「胎児のやわらかな首に問題が起こるような遺伝子を持つ人が、自然淘汰されている、」言いかえれば、「吸引分娩で問題を起こす人は淘汰されていない」ということは考えられない。

[帝王切開]
それなら、「帝王切開なら、胎児に理想的なのではないか」と考える人もいるかもしれないが、頭蓋骨が適度に圧迫されながら、産道を通過することは胎児にとって必要なことであり、この過程を省くと頭蓋骨の可動性に若干の問題を生じるようである。

 

3.  気と自律神経失調症

「気」は物理的な振動あるいはユレであり、その源泉は心臓です。

心臓は血液を送り出す運動以外に、全体が自律的に揺れています。これが「気」の源泉で、後頭部の頚椎の1番があるあたりに伝わり、背骨がこれに共振します。

この振動はさらに肝臓、腎臓、胃などの内臓に伝わり、それぞれの臓器は共振しつつ、自律的な振動を行っています。

肝臓や胃などの大きな臓器は服の上から触っても、この運動が感じられます。

この状態が、臓器に「気」が流れている状態です。

肝臓癌や脂肪肝の人は、肝臓に気が流れていません。

食欲のない人は、胃に気が流れていません。

臓器に気を流すと、その働きがたちどころに上がります。

自律神経失調症の人は、臓器に気が流れていないのです。

古代中国に始まり、我が国でも明治の初めまで行われた脈診という診断技術を使えば、気が流れていない臓器を簡単に特定することができます。

自律神経失調症の人のいろいろな症状は、現代医学では確かめようがありませんが、脈を診れば、症状の裏付けが取れ、精神的な問題ではなく、現実の臓器の問題として扱うことができます。

 

4.脈診と気

脈診とは、橈骨動脈の脈拍の状態を診る技術で、中国の春秋時代、今から二千五百年以上も前に、難経という本が書かれています。

脈診のバイブルともいうべきこの本は、新石器時代に、治療師から治療師へと、代々語り伝えられたものが、この時代に書物になったらしく、作者は不明です。(古来、秦越人の著と伝えられていた。)

脈診においては、手首の寸口と呼ばれるトウ骨動脈の拍動部を、寸、関、尺の三部に分けて診ます。両手にあるので、左右で六脈になります。左寸で心と小腸、右寸で肺と大腸、左関で肝と胆、右関で脾と胃、左尺で腎と膀胱、右尺で心包と三焦を診ます。

東洋医学においては、内臓を肝、心、脾、肺、腎の五臓と胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦の六腑に分けますが、現代医学の解剖学的事実とは若干の違いがあります。脈診によって分かるのは、この五臓六腑と心包絡をあわせた十二経絡の気の流れです。

脈診で肺というのは、手の親指と肺を結ぶ経絡の気の流れで、脈の打ち方によって、「肺が弱っている」とか「肺自体は問題無いが、末梢の手の部分に問題がある」などということが分かります。

鍼灸では、脈を診た後「本治法」という古典のマニュアルにそった治療を行い、なお問題のあるときは、過去の治療例において、効果のあった経穴を治療することが多いようです。

根治療術においては、問題がある経絡を、実際に手で触って、気の流れの止まっている場所を探しだします。

すると不思議なことに、ほとんどの患者さんは「そこは昔捻挫したことがあります」とか「骨折したことがあります」と言われることが多く、「絶対ありません」と言った人が「後で思い出しました」とか「母が「骨折した」と言っていました」などと言われることが少なくありません。

 

5. 腎と自律神経失調症

生命力、すなわち気の源泉は、心臓を初めとする内臓の自動運動です。

骨や筋肉には、この運動に連動する波動が生じています。

これが気の正体です。特定の臓器が特定の筋肉や骨と連動して動いています。

例えば、胃は胃経の支配する骨や筋肉と連動して動いています。

目がさめて、交感神経が働き出し、内臓が活性化すると、それに対応して気の流れがよくなり、筋肉は柔らかくなって、関節は、周りが緩んで、回旋し、開いていきます。

反対に、夜眠ると、内臓は不活発になり、体は縮んで、閉じて行きます。

人の体は、一日中、絶えず、この伸び縮みの運動をしています。この伸び縮みの運動を制御しているのが腎です。

例えば、捻挫等で体に歪みが生じ、肋骨部分の気の流れが悪くなると、心包経が虚して、心経が虚します。

すると、脾経、肺経、腎経の順に虚し、腎は肝臓を従えて、筋肉を萎縮させ、体全体が縮みます。この過程がスムーズに行けば、体が縮小均衡し、内臓の機能は低下しますが、体力が若干低下するくらいで、問題は起りません。

体は、縮小均衡したまま、先ほどの伸び縮みの運動を繰り返すことになります。

年を取るにしたがって、腎機能は低下して行きます。腎機能が低下すると体が萎縮し、内蔵機能が低下して、老化が進んで行きます。

若い人でも、けがなどが原因で、腎が極度に虚すと、自律神経失調症になることがあります。

お腹は硬くなってペッタンコになり、指は、筋肉が硬くなって縮んでしまうので、節くれだってしまいます。内臓が強くて、足に問題がある人は、逆に太ることもあります。

一見、丈夫そうに見えますが、体には気が流れず、筋肉は硬く、お腹はパンパンになっていて、慢性肩凝りや自律神経失調症に悩んでいるのがこのタイプのです。

体力がある分、無理をすることになるので、五十歳を過ぎると、心筋梗塞、脳卒中、突然死など、思わぬ不幸に襲われることになります。

腎には、春夏秋冬、昼夜などの外的環境や、けが、病気などの内的環境の変化に応じて、体の恒常性を保ちながら体を変化させるという機能、言いかえれば、気の流れを保とうとする機能があります。

腎に問題が生じると、全身の気の流れがおかしくなり、現代医学では、解明できない病気になることが少なくありません。

 

6. 膀胱経と自律神経失調症

膀胱経は、足の小指から頭のてっぺんまで全身を貫いて走る経脈ですが、その最大の特徴は、「人の背部、腰、背中、を支配し、脊柱を守っている」点にあります。

背中を流れている経脈は、脊柱上を流れる督脈と督脈を守るように左右二本づつ流れる四本の膀胱経だけです。

この四本の膀胱経に気が流れていれば、腰は軽く、背はまっすぐ伸びています。

脈診をして、膀胱経が虚している人は、仙腸関節がカテゴリーUという壊れ方をしていることが多く、脊柱が歪んで、失自律神経調症になっています。

膀胱経上には、腎兪(じんゆ)、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)等の内臓に直結するゆけつ兪穴があり、内臓に問題があると、その内臓に対応する兪穴の部分に硬結が生じます。

反対に、膀胱経が虚すると、脊柱が歪むので、兪穴に問題が生じ、内臓の機能が低下します。

膀胱経は腎経と同じ足の小指から出ていて、腎経が変化すると膀胱経が連動して変化するようになっています。

腎によって体が縮んだり伸びたりするときに、脊柱に問題が生じないように、脊柱の伸縮運動を助けているのが膀胱経なのです。

 

7.心臓と自律神経失調症

「心臓は動きつづけなければならない」---- これが経絡に課せられた最も重要な命題です。

心臓の周辺に問題が生じると心経が虚します。

すると、それに連動して、脾経が虚します。脾経は、肝経、腎経、膀胱経、胆経、胃経の流れを直接統括しているので、これらの経絡が虚するとともに、内臓の機能も低下します。

手の経絡もこれと連動して虚するので全ての内臓機能が急激に低下し、筋肉も硬くなって、体が重く、だるく感じるようになります。

同時に気持ちがうつ鬱っぽくなり、やる気がなくなり、猜疑心が強くなり、他人と行動をともにするのがいやになってきます。

一種の自律神経失調症になるわけですが、このため、活発な行動をしなくなるので、心臓は守られます。

2001年11月末に始まった新種の風邪は、腎機能と肝機能が低下するだけでなく、胸部が極端に萎縮して、心機能の低下を招きました。

胸部が縮んだとき、胸の部分と肩甲骨の周りに硬結ができ、「胸が痛い」「心臓がどきどきする」「肩甲骨の周りが重苦しい」「疲れが取れない」などの症状が出ました。

この風邪は、風邪の症状がほとんどなく、本当に健康な人は、全身がバランスを保ったまま縮むので「夕方少し疲れを感じる」程度の問題しか感じません。

ところが過去に捻挫や骨折などの外傷をしていると、体がゆがんで縮むので、「心臓がくるしい」「咳が取れない」「喉の痛みが取れない」などいろいろな症状がでます。

 

8. 三焦経と自律心経失調症

東洋医学では、人体を「上焦、中焦、下焦」の三焦に分けます。ですから三焦とは全身のことです。

手首の骨折や薬指の骨折などで三焦経が虚すると、後頭部と肩、手を結ぶ一連の筋肉が硬くなり、頭と頚椎が一方向に引っ張られて、後頭部および背骨が突然ロックし、激しい自律神経失調症が起り全身に問題が生じます。

このため、三焦経と名づけられたようです。

三焦経がこのような特別な機能を持っているのは、心経が手の小指から出ているためです。

手に重大な事故が起り、心経に大きな変化が起きたとき、内臓の機能をすべて一時的に低下させ、心臓の負担を軽減させるためです。

 

9. 治療の難易

治療の難易は、症状の激しさとは関係がなく、救急車で運ばれるようなものでも、一度の治療で治ることもあり、単なる肩凝りが1年以上かかることもあります。

例えば、@その症状が起こる半年から一年前に、その原因と思われる外傷を起こしているもので、特に二年以内のものは、数回の治療で治ることが少なくありません。

A症状が起こる前に外傷を起こした記憶のないものは、幼児期、成長期に骨折、捻挫等を起こしていることが多く、関節が捻れたまま成長してしまっているので、治療には時間がかかり、半年以上かかる例が少なくありません。

B腎臓、肝臓、肺(肺炎、肋膜炎等)に問題を起こした人は、関節、筋肉が異常に硬くなっているため、治療に1年以上かかる例が少なくありません。

C手術をしたことのある人は、その部分を元に戻すことができないので、リピーターになることが少なくありません。

D70歳以上の方は、風邪など引くごとに問題が生じ、完全に治りきらないケースもあります。




●治療例 1



五十代の女性の例ですが、「眠れない、頭が痛い、目まいがする、肩が凝る、腰が痛い、むくみがある」などいわゆる自律神経失調症の典型的な症状を訴えてきました。

脈を診ると、足の小指から出ている、膀胱経と腎経に問題があるのですが、不思議なことに、足には捻挫などによる硬結は見られませんでした。

二十年ほど前に、交通事故に巻き込まれ、ムチウチになったことがあるというので、首を左右に軽く動かしてみると、右旋回にはっきりした制限が見られました。

また、頭蓋骨にも問題が感じられました。そこで、首を回しやすい方向、左側にそっと旋回させて、頚椎が復元するのを待ちました。

頚椎が壊れていると、頭蓋骨、肩、肘、手首の関節が連動して壊れてしまうので、これも同ように直してから、三分ほど足踏みをしてもらいました。そのとき、「あなたの問題はすべて二十年前のムチウチが原因で起きています。」と説明すると、「いいえ、首に問題はありません」という答えが返ってきました。

「どうしてですか」と尋ねると、「首は、有名な整体の先生に完全に治していただきました。それ以来、首に問題を感じたことはありません。」ときっぱりとした答えが返ってきました。

そこで「私が触ると、首にも頭にも大きな問題が残っています。

そのために、腰が歪み、膀胱経と腎経に問題が生じています。

膀胱経は背中を流れ、腎経はお腹の側を流れ、子宮をサンドイッチにしているので、婦人科系の問題が生じることが多く、喉が弱い人は、腎経が虚した(弱った)ために、甲状腺に問題が起きることさえあります」と言うと、「そう言えば、交通事故を起こして、一年ぐらいしてから、子宮筋腫になり、甲状腺がおかしくなって、今でも薬を飲んでいます。だけど、首には問題がありません。」とまたきっぱりとした答えが返って来ました。

「そろそろ、腰が変化して来る頃ですが、どうですか」と尋ねると、「ちょっと腰が重くなってきました。」

そこで、足を調整して、「どうですか」と尋ねると、「とても楽になりました。」と嬉しそうに、答えが返ってきました。

一週間後に治療に来たときに「いかがですか」と尋ねると「確かに問題は首にあったようです。

夜はよく眠れるようになったし、体の痛みもまったくありません。」そこで「首の治療は非常に難しく、頭蓋骨、手首、腰、膝、足首などが連動して、多重層に壊れるので、有名な治療家でも、首の治療が完全に出きる人は、ほとんどいません。

二十年も経っていると、手足の指の関節も連動して壊れ、硬くなってしまっているので、今日は手足の指を治療します。」と説明しました。

治療が終わったとき、「健康のために定期的に通いたいのですが、次はいつ来たらいいでしょうか」と聞かれたので「二十年前やったムチウチで、問題が起きた場合は、一年ぐらい治療にかかるのが普通ですが、女性の場合、お産をして、関節がゆるんでいると、治りが異常に早い場合があります。

あなたの場合は、このケースで、多少問題は残っているのですが、症状には現れていないので、治療はこれで終わりです。

何か問題が出たら、その時治しますので、電話してください。」と答えました。一年後に会ったとき、「甲状腺は、知らない間に直ってしまい、薬はもう飲んでいません」とのことでした。




●治療例 2



34歳の男性で、朝起きる「胃が痛い」人がいました。

5年間毎朝痛みがあり、大学病院で検査しましたが、何の異常もありません。

しつこく行ったら、心療内科に行かされ、精神安定剤を出されてしまいましたが、胃痛は治りません。

鍼、灸、整体、カイロ、漢方薬とあらゆることを5年間したが、痛みには何の変化もありませんでした。

この人が横になったとき、すぐ脈を診ると、胃経が流れているのですが、しばらくすると止まってしまうことがわかりました。

こういう脈状のときは、寝ているときや起きようとしているときに問題が起こり、日中になると症状が消えてしまいます。

この患者さんの胃経の流れを触診しましたが、問題は見つかりませんでした。

指が少し詰まっていたので、頭を診ると頭のてっぺんの気が止まっていました。

「ここの気が止まっていますがどうしたのですか」と聞くと、小学4年生のときプロレスごっこをして、パイルドライバーをかけられ、1ヶ月ほど苦しかったそうです。

ここを治療すると、薄皮をはぐように胃痛はよくなり、2ヶ月しないうちに完治しました。


 

 

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