平成のカラオケ健康法・九


 

●第九章  「開眼への道」

2. 丹田とカラオケ
3. 仁神術
4. 加藤先生への手紙
5. 腎
6. 足の反射療法

 

 

 

●1.丹田と肥田式強健術●


肥田式強健術というのは、生まれつき虚弱であった肥田春充(明治16年~昭和31年)によって創始された心身鍛錬法で、 一時この強健術に興味を持ち、「肥田式強健術」という書籍やビデオを手に入れて練習したことがある。残念ながら、肥田式強健術の中核をなす「中心力」というものを理解することはできなかったが、丹田(たんでん)という概念を身につけることができた。

肥田式強健術の鍛錬法を行うとき、正しい型にしたがって、お腹を膨らましながら、一気に息を吐くということをやる。 すると不思議なことに、気の流れが突然よくなり、意識を集中した部分の筋肉が柔らかくなって変化する。

本当はやってはいけないのだが、面白いので、色々な格好をしてやってみた。 お腹を膨らましながら、一気に息を吐く、これが丹田を使うということなのだが、これさえすれば、どんな格好でやっても、気の流れが一気に変化する。 面白いので、歩きながらやってみたこともあった。 二、三日して体がぐちゃぐちゃになってしまっているのに気がついてびっくりした。 丹田を使うときは、正しい型にしたがって行わなければならなかったのだ。

 

●2.丹田とカラオケ●


カラオケを始めたころ、腹式呼吸のやり方がわからなくて、色々な人に聞いてみたが、誰も正しい方法を教えてくれなかった。 息を吐くとき、お腹を膨らませるのか、それとも引っ込めるのかという簡単な疑問に、誰も答えられなかったのだ。 丹田が分かると答えは簡単だ。 お腹を膨らませながら、息を吐く。 これが正しい呼吸法なのである。

カラオケ喫茶でよく会う元歌手の井上さんから、「歌がうまくなるための秘伝」として、この呼吸法のトレーニングを受けたと聞き、なるほどと思った。 この呼吸法で歌うと、声が大きくなるかというと、そんなことはない。 この呼吸法で、大会場いっぱいに声が響かせることができる人は、井上さんのような発声の才能に恵まれた人だけである。 普通の人のとってのメリットは、@健康によいA滑らかに歌うことができるという点にある。


3.仁神術


仁神術は、村井次郎(明治19年石川県大聖寺村の生まれ)が創始した治療法。国内ではほとんど名前も知られていないのに、1954年、村井次郎の弟子のメリー・バーマイスターによってアメリカに伝えられたため、アメリカでは、アメリカ仁神術センターがあるほど普及している。

仁神術は気液流動促進法とも言われ、2カ所の気点(治療点)左右の手を当て、変流して止まっている体液を流すことによって、治療する。

この治療法については、たにぐち書店より「仁神術」が出ている。

副題の[気液流動促進法]という言葉から、自分と同じことを考えた人がいると感じ、著者の加藤先生に、手紙を書いて自己紹介した後、電話で「是非一度治療を受けてみたい。仁神術についてのお話もお伺いしたい。」とお願いすると、「仁神術については、特に話すことはないが、治療はする」ということだった。

推測だが、恩師の村井先生と似通った能力を持つ人とどういう会話をしたらいいのか戸惑われたように思われる。

そのときの、手紙の原稿がパソコンに残っていた。

読んでみると、「当時は手技だけで治療していたので、高齢者を治療するのは、硬結が硬くなっているため大変だった」ことが思い出された。

経絡も脈診もまだ分からず、治療技術は未熟だった。

4.加藤先生への手紙● 


前略、先日縁がありまして、貴著「仁神術」を手に入れることが出来ました。

知人が「私にむいている」と言って、署名と発行所を教えてくれたのですが、内容も価格も聞かないで近くの書店に注文したので、この本のをてにして[気液流動促進法]と言う副題を見たとき、「私と同じことをする人がいる」と言う衝撃が走りました。

私はこの本を読む前は「気液」という言葉は一度も聞いたことがありませんでしたが、この副題を読んだとき、その意味が直感的に分かりました。

本を読み進むと「気液」と言う点では共通しているが、治療の技法においては若干の違いがあるのに気が付きました。また『村井先生が「体液の流れ路」を身体で会得した』と書かれているのを読み、「全く及ばないものがある」と感じたと同時に、「体得する方法が永遠に失われてしまった」のは残念でなりません。

私もこの本を読むまでは「気を流して治療している」と思っていましたが、仁神術を読むと、私のは「気液波動促進法」と呼んだほうがいいような気がします。

仁神術においては必ず両手を使うのに対して、私は普通片手で問題がある部分にふれ、かすかに感じられる波動を次第に拡大していき、硬結が融けると治療が終了します。治療は足の指から頭のてっぺんまで行いますが、経絡は参考程度で、体のどこかに気の流れの悪いところがあれば直ちに治療の対象になります。

足に硬い硬結があるときなどは、さわっているだけでは、全く動かない場合があり、時には足を両手で掴んでひねったり、患者にひねらせたり、硬結部分を強く押したり、手段は問いません。

私の治療法は、自分の体を、頭のてっぺんから足先まで、繰り返し試行錯誤しながら治療している間にできあがったもので、「自分に対して出来ることは他人に対しても出来る」ようです。私が自分の体の全体的な気の流れの恒常性を保つことが出来るようになったのが2年ほど前からで、その頃から他人の治療が簡単に出来るようになりました。

他人を治療するときは、それほど気にならないのですが、自分を治療するときには、左手で行うか、右手で行うかで、反応に大きな違いがあり、どうしてか説明が付きませんでしたが、加藤先生の仁神術を読み、その理由が分かったような気がします。指の基節部を使った治療法は大変参考になり、手の治療がとても楽になりました。私は足と鼠けい部の治療を重視しているのですが、貴書にあるように両手を使った方が遥かに楽です。

足の小指と尾てい骨の横を結んで反応を見ると、村井先生が言われているように、「膀胱系が尾てい骨のところで交差している」としか考えられません。

これ以外にも参考になることがたくさんあり、大変貴重な本を手に入れたと喜んでいます。

私は、すでに申し上げましたように、自分自身を治療し続けていますが、自分の手が届かない部分があったりして、どうしても自分の思い道理に行かない部分があります。できれば加藤先生か門下生の方に一度治療して頂けないものかと思っています。後日、電話をおかけしたいと思いますのでよろしくお願いします。

草々

平成9年7月30日


八王子市東町1―14
(株)渡辺米会話研究所
所長 渡辺昇一

●5.腎●


加藤先生の治療室に伺い早速診察してもらった。

「病には内臓系、運動系、循環系の3種類があり、私の場合は内臓系の問題なので、仁神術では治らない、しかし灸頭鍼で治療すれば、よくなる」と言うことだった。

私は、鍼は苦手だったが、せっかく来たのだからやってもらうことにした。
灸頭鍼による腎の治療だった。
治療が終わって、立ち上がると、お腹の感じが変わった。
丹田が変わったという感じだった。

「丹田が変わった感じがします。これはずっと効果があるんでしょうか」とお伺いすると、「効果が続くのは3日ぐらいです。繰り返しやれば、だんだんよくなっていきます。」
「完治するには、どのくらいかかるのでしょうか。」
「半年ぐらいで、治ることもあれば、1年以上かかることもある」という話だった。

しばらく通ってみようと思ったが、翌日手技で試してみたら、ほぼ同様の効果が得られたので、治療は1回で終わってしまった。 このとき初めて腎の重要性を理解した。

●6.足の反射療法●

@.全身から冷や汗
A.Reflexzonenarbeit am Fuss
B.足の治療はなぜ効果があるのか
C.足の治療の特異性
D.足の反射療法の限界

 

 

@.全身から冷や汗

腎の治療法を習得して、1週間ほどしたとき、電柱に「官足法」と書いた看板があるのに気がついた。
「怪しい治療法かもしれないけれど、足は勉強しとかなくちゃあ」と思って、早速電話をかけ、翌日治療してもらった。

10センチぐらいの小さなすりこぎみたいな棒で、足の裏をこするのだが、むちゃくちゃ痛い。
全身から冷や汗が出るくらい痛い。 驚いたことに、治療が終わり、痛みで起こった全身の緊張が解けると、内臓に変化が起こっているのがわかった。

ほとんど我慢ができないほど痛かったが、変化が起こったので、もう一度行ってみた。 二度目のときは、変化がほとんど起こらなかった。 念のため、もう一度行ってみた。 三度目は何の変化も起こらなかった。

 

A.Reflexzonenarbeit am Fuss

足の治療法に関する本を買いあさっているうちに医道の日本社から出ている「足の反射療法;Reflexzonenarbeit am Fuss」に出会った。 足治療のバイブルと呼ぶべき本で、反射療法の歴史から始まって、足治療に必要な治療技術、理論、チャート、治療例などが詳しく書かれている。

足の反射療法は、
T.足にに全身の縮図が投影され、足に身体にある各臓器や器官に対応する部位、反射区があり、
U.臓器や器官に問題が生じると、その反射区の筋肉が緊張して硬くなるなどの変化が起こり、
V.その反射区をマッサージして緊張をゆるめると対応する臓器や器官が回復するという理論に基づいて行われる。

健康サンダルにプリントしてある足の図や足裏マッサージの本についている足の図の多くは、この反射区を図解したものだ。 当時はまだ治療技術のレベルが低かったので、反射区のチャートを正しく評価できなかった。

例えば、足の第2指が目に影響を与えることは、胃経が第2指から発し、目の下の承泣に達するので、理解することはできたが、第3指が目と関連することは理解できなかった。 かすかな気の流れが感じられるようになってから、第3指の可動性は、目尻の周りの可動性と直接連動していることが分かるようになった。

「足の反射療法;Reflexzonenarbeit am Fuss」は、診断、治療の双方に応用可能な精緻な研究成果を提供してくれる。 手技治療家にとっては必読の書だ。

 

B.足の治療はなぜ効果があるのか

T.足の第3指と目尻の周りが連動していることが、気の流れをチェックすることで確かめられたように、反射区とその対応する内臓との連動関係は気の流れをチェックすることで確認することができる。
U.内臓は気が流れているとき、言い変えれば、モワモワ動いているとき、その機能が最大に発揮されている、
V.内臓の気の流れが止まれば、連動する足の反射区の気も止まり、その部分は次第に硬くなって行く、
W.反射区にタコなどができて、気が止まれば連動している内臓にも影響を与え、内蔵の機能低下が起こる
X.反射区をマッサージして、気が流れれば、内臓のモワモワ運動が回復し、内蔵機能も回復する、

というように気の基本概念を使うと、足の反射療法はなぜ効果があるのか説明できる。

 

C.足の治療の特異性

足の治療は、他の部位とは違った特異性がある。

全体重が足にかかるため、経絡の連鎖によって二次的に生じた問題が、本質的な問題に変質してしまうためだ。

例えば、人差し指をひどく突き指して、大腸経が虚すると、連鎖して足の膀胱経が虚す。 膀胱経は足の小指から出ているため、膀胱経が虚して数年もすると小指の付け根にタコができてしまうことがある。 こうなると、悪い風邪を引いて体が縮んだとき、タコの部分がスムースに変形しないため、膀胱経の流れる筋肉が異常に硬くなって、左右の膀胱に挟まれている脊柱がゆがんで自律神経失調症になることがある。 このような状態のとき、タコの部分を治療して緩めれば、自律神経失調症の症状は改善される。

足には、今例に挙げたような二次的にできた硬結が散在しているので、初めて足を治療したときには、必ず何らかの効果があるという特異性がある

 

D.足の反射療法の限界
二次的にできた問題を解決しても、手につき指でできた硬結がある限り、膀胱経は虚してしまうので、脊柱のゆがみは完全には治らない。 しばらくすると、小指の付け根はまた固くなってしまう。 これは、足の反射療法に限らず、顎関節の治療や仙骨の治療などの体の部分治療法に共通した限界である。

 

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