●1.半断食はマクロビオティック食養法の一部門●
私は半断食を始めるにあたって、その予備知識も全くなかったし、始めるにあたっても、管藤さん(蒼玄社長)が、「半断食の説明をさせますから、いつがいいですか」と言っているにもかかわらず、「彼がやった方がいいと言っているんだから、取りあえずやってみよう」と思って、何の説明も聞かずに、翌々日から始めてしまった。だから半断食が桜沢如一先生のマクロビオティック食養法の一部門であり、半断食の後3ヶ月の玄米菜食が必要だととは、夢にも思っていなかった。知っていたら、やらなかったかも知れない。
@やめた場合、本断食をすることになるだろうが、2週間も休みを取るのは難しい
A本断食で硬結が取れれば、一応は硬結がない状態を確認できるが、1週間で戻ってしまうので、その後の展望がない
B玄米食を続けた場合、仮に3ヶ月後の体の状態が現在とあまり変わらないとしても、つぼ治療を続けていけば、硬結の絶対量は確実に減っていく
C突然硬結がすべてなくなれば、言うこと無し
D温浴で硬結が溶けているが、前日につぼ治療をしたところが溶けているので、期待はそれほどできない
結局、3ヶ月間玄米菜食を続けることにした。
●3.勝手に玄米菜食●
家内は「玄米菜食をするんだったら、勝手に一人でやってみてくださいね」などと前々から言っていたので、昼は蒼玄の松花堂弁当(\1,339、配達の場合\1,545)を昼に食べ、朝晩はそば、うどん、玄米餅、粟餅を味噌汁にいれたもので3ヶ月過ごすことにした。この時点では、食養の基礎知識が全然なかったので、「とにかく渡辺先生は、肉と魚さえ食べなければ硬結は増えないと言っていたから」と単純に考えていた。
●4.取りこぼし講義●
二日後に、取りこぼした講義と実習があって、食べ物の陰陽と食事治療法を勉強したが、里芋パスターが効かなかったこともあって、「こういうことを考える人がいるんだ」くらいにしか考えていなかった。しかし、半断食を終わって数日後、「マクロビオティック健康法」と「半断食」を読み、半断食と玄米菜食にたいする考え方が、一変した。
●5.マクロビオティック健康法●
数日後、久司道夫先生が書かれた「マクロビオティック健康法」という本を家内が図書館から見つけてきた。この本には蒼玄で実習した里芋パスターをはじめとして、講義の内容がすべて書かれているだけでなく、玄米菜食を理論的に説明しているので、取りあえず理論的に納得しなければ、玄米菜食を始められないと言う人にはうってつけの本だ。この本はマクロビオティック(長生法)の創始者である桜沢如一先生の思想を、アメリカ在住の久司先生が、"The book of Macrobiotics"として英文で出版したものの日本語版である。英語版が先に出版されているのが面白い。
●6.無双理論●
マクロビオティックは無双原理と呼ばれる陰陽論を基に、宇宙の秩序を説明し、その延長線上に食養の理論を展開している。無双理論に関しては、その骨格が説明されているだけで、その正当性は証明されていない。だから、私がこの本を読んで、「なるほど」と思うのは、無双理論に感銘したからではなく、食養法が進化論的な視野から考えられているからだ。
●7.進化論的食養法●
簡単に言うと、人間は、30憶年も昔、原始の有機体として現れたものが、次第に進化して、雑食の人類となった。日本人はこの日本列島に2000年以上住んでいる。そしてこの土地で取れる食物に最もよく適応した人々が、現在の日本人として生き残ってきた。私達の祖先が食べたのは、米、麦、粟、ヒエ、そばなどの穀類や野菜など、現在自然食と呼ばれるものであった。魚や肉は現在のように頻繁には食べられていなかった。日本人の体は、そのような食事を取ったとき、長生きできるようになっている。
●8.歯と食養法●
また歯を見ると、人間は何を食べるべきか推論することができる。人間の歯の大部分を占める小臼歯や大臼歯は、一般にには穀類、豆類、その他の種子をかみ砕くのに使われる。その次に多い門歯は野菜のような植物性食品をかみ切るのに使われ、一番少ない犬歯が動物性食品を引き裂くのに使われる。
●9.好ましい食事構成●
歯の分析からから好ましい食事構成を考えると、(1)現代植物種の完全穀類とその加工品を50%以上
(2)現代に近い植物種の豆類、種子類とその加工品を10〜15%
(3)海陸植物と、現代、古代、原始の海にあたるスープ類を25%
(4)水棲の動物種を15%以下
(5)穀類についで現代的な植物種に相当する果物とその加工品をまれに少量
(6)最も原始的である酵素およびバクテリアは、発酵食物の形で少量取り入れてもよい
ということになる。
●10.食事の西洋化は何を招くのか●
日本という温暖地域での標準食は、伝統的な食事法、天候、季節の変化、地理的条件、社会的条件、性別、年齢、活動、仕事の変化などを考えて調節しなければいけない。フンザ王国の人々も、ブータンの人々も、エスキモー人も、一定の食事様式を守ることによって、彼らの国が長寿国と言われるようになった。この人たちが現代の加工食品などによって、その食事法を外国のものに変えたとしたら、環境にたいする適応力を失って、民族として滅びてしまう恐れがある。この百年間に大幅に食生活を変えただけでなく、食物にたいする考え方さえも変えてしまった日本人に、何が起こるのだろうか。
●11.食養法と世界政府●
この本はさらに、食養法によって、人類の生物学的、心理学的改善を図り、世界政府を確立することが必要である説いている。論理にに飛躍があって、ついて行けないところがあるが、玄米菜食をすると、心が平和になり、争いごとがなくなると言いたいらしい。
●12.現代栄養学と食養法●
私は、小学校の頃から、家庭科などを通して、知らぬ間に現代栄養学の知識を身につけ、食事をする度に、「蛋白質は?」とか「ビタミンは?」などのように無意識に気を使っていた。そういう者が、現代栄養学と相反するような食養法を行うのは、心理的に難しいものである。この本は、そういう人たち、食事にたいする全く別の考え方があることを教えてくれる。
●13.一読に値する●
この本は、無双理論から純粋に演繹的に書かれているのでもなく、食養の経験から純粋に帰納的に書かれているのでもない。恐らく食養法を実践するうちに帰納的に悟った真実を、あたかも無双理論からすべて導かれるように書いたのだろう。理論的飛躍があちこちに見られ、論理学や哲学を勉強した人には、すんなりついていけないところが多い。そういう欠点はあるけれど、一読に値する本だ。
●14.名著「半断食」●
マクロビオティック健康法を読んだ数日後に「半断食」を読んだ。この本は著者国清先生の明晰な頭脳と人柄のよさがそのまま現れた名著で、「何故現代人には半断食が必要なのか」を彼の失敗を追体験するような感じで、理解することができる。
●15.国清先生と断食●
この「半断食」によると、彼は昭和42年から3年間、沖ヨガ道場で修行し、その間数回本断食を行い、また数百人の人が断食するのを見てきた。当時は復食時に過食さえしなければ問題は起こらなかった。
●16.異変●
ところが昭和52年7月から昭和55年3月まで府中で断食指導をしてみると、断食者の反応が昔と違っているのに気が付いた。その例として、@断食初期の反応が抜けると、だんだん体が軽くなってくるはずなのに、いつまでもだるさが抜けない。
A十日から二週間位、断食すれば、断食中か復食時に、程度の差はあるが宿便が出るはずなのに、それらしいものが出ない。
B断食日数が進むと、だんだん睡眠時間が減ってくるはずなのに、そうはならない。太って、ガッチリした、一か月位平気で断食できそうな人が、予想に反して、一週間もすると、グッタリしてしまう。
・・・・・・
G女性の場合、断食後生理が一、二カ月止まることがあるが半年も一年も生理が来ない、という人がいる、など八つの具体例が書かれている。
●17.ショッキングな体験●
国清氏にとって最もショッキングだったのは、断食者の一人が、家での復食中の、1カ月後に死亡したことだった。宿便だと思っていた、黒い便は、胃腸から出血した血が黒くなったもので、貧血が進み、救急車で運ばれた時は手遅れだった。
●18.大森先生との出会い●
ちょうどその頃、彼は日本CI協会で大森英桜先生の講演を聞いて感銘を受け、昭和55年から2年間ヨガ教室をしながら、大森先生の指導下で、食事療法を行った。その結果「水断食(本断食のこと)は現代人には合わない。現代人に必要なのは半断食である」という結論に達した。
●19.なぜ現代人に必要なのは半断食なのか●
その理由は、
@昔の人は白米を除けば、自然食を食べていたが、この30、40年の間に日本人の食生活が急激に変化し、それに伴って日本人の体質も変わってしまった
A現代人の多くが貧血であり、貧血でなくとも血液の質が悪くなっている。肉食者は断食前は貧血でなくとも、断食に入ると、あっと言う間に貧血になってしまう
B昔の人は断食で宿便を出せば、健康になれたが、現代人は誤った食生活のために、体全体が宿便化している
Cそれ故まず半断食できれいな濃い血を作り、その血液が体を常に循環するようにならなければ、体内の毒素を排出して、体質を改善することはできない
D半断食は、正しい食生活を身につけるための準備として、行うもので、その後玄米菜食を続けることによって、体質を改善することが現代人には必要である
●20.必読の書−ぜひ読んで下さい●
もしこの2冊を前もって読んでいたら、私の半断食も多少変わっていたのではないかと思う。私は「本断食」する時間がないので、仕方なく半断食を選んだが、国清先生の「半断食」を読んでいれば、心に迷いがなく半断食ができたはずだ。この本は現代人に必要なのは「半断食」であって、「本断食」ではないことを、飾りのない、率直な表現で、教えてくれる。また、現代栄養学の知識を持っていると、それに反する玄米菜食を長期に渡って続けることに、不安を持つものだが、マクロビオティック健康法は、精神的な支えになってくれる。断食や玄米菜食に関心のある方は、ぜひ読んで見て下さい。