40.比較脈診法と絶対脈診法

経絡治療で、一般に行われる脈診法は、六部定位比較脈診法と呼ばれるもので、左右の中指、人差し指、薬指の六指で左手首三点、右手首三点の六点を同時に押さえて、脈を診ます。根治療術においては、六点を一点づつ診る、単診による絶対脈診法を基本とします。

この違いは、根治療術の治療法が、一般の経絡治療と根本的に異なるために生じます。

根治療術が、主に治療の対象として考える患者は、現代医学でも、鍼灸や整体でも治らない人たちです。

この人たちは、普通、多重層萎縮を起こして、体が縦方向に、層状に萎縮しています。このとき、患者に慢性痛慢性病を起こしているファクターはは二つ考えられます。

@経絡のバランスが崩れることによって、虚したT脈の内臓機能が低下すること、A体が歪むのに連動して、内臓が歪み機能低下を起こす。

根治療術によって、例えば、捻挫を治すと、体や内臓の歪みがとれます。二年以内の捻挫なら、これ以上の治療は必要ありません。

ところが、十年、二十年も前に起こした捻挫であれば、体の歪みがとれても、問題は、完全には、解決しません。

体の萎縮が取れると、今まで縮んで隠れていた硬結が表面に浮かび上がってきて、経絡の流れを乱すからです。

捻挫が古ければ古いほど、硬結は硬く、全身にわたって生じることが多くなります。

硬結は、普通、経脈上のツボと言われるところにできるのですが、このようなケースでは、奇経と呼ばれる本治法の治療の対象にならない経絡上や普通はツボが生じないところに、硬結が現れます。

このようなケースでは、気の流れが分かり、人体の恒常性の問題を熟知していないと、陽実証と言われる状態のものを陰虚証にしてしまい、収拾がつかなくなるということが起こります。

この問題を避けるために、大昔「気の流れの分からない弟子のために考えられた」のが比較脈診による本治法だと推察されます。

この方法は、脈が最も弱く打っている経脈ないしは最も強く打っている経脈を見つけ、その経脈を補寫の理論に基づいてマニュアル通りに治療することで、経絡のバランスを取ります。

異常に強くあるいは弱く打っている経脈を見つけるには、六点を同時に診る比較脈診が適しています。

治療点を八点前後までにして、体をできるだけ変化させないように治療するのがポイントになります。

症状が軽い人はこの方法で治りますが、重い方はバランスを取るだけでは不十分で、体と内臓の歪みを取るしか方法は残されていません。

根治療術の治療対象はこのタイプの人達なので、患者のどこに原因があるのか探り当てるための脈診が必要になってきます。

三点を同時に押さえると、互いに干渉しあって、正確な脈気がとらえられないので、一点一点単診することが必要になります。

根治療術では、脈診の後、さらに手足十本の指の気を診て、問題のある場所を推論します。

脈状によっては、頭蓋骨を直ちに診ることもあります。


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