8.鍼灸と整体系理論の限界
整体系の理論は、現代医学の知識を吸収しながら、進化をしています。
昔は、整体、カイロと言うと、「ずれた関節を正しい位置に戻す」と言うイメージが強かったのですが、ソフトカイロやオステオパシーが普及するようになり、「頭蓋仙骨治療」や「内臓のマニピュレーション」、「モーションパルペーション」などの治療法が導入され、より安全で効果的なものになっています。
整体系の理論には、「内臓の機能の変化がどのように骨格筋や関節の可動性に影響を与えるか」理論がないため、腰痛や膝の痛みなどを治療するのに限界があるだけでなく、慢性病に対する体系だった治療法も確立していないという限界があります。
鍼灸の治療理論は、約一万年と言われる新石器時代に蓄積した古代医学の知識が、中国での古代文明の発祥とともに、陰陽論を用いた精緻で壮大な治療体系として完成されています。
また、過去の有名な治療家による、さまざまな病気の治療例が文献として残っていて、非常に参考になります。
ところが、実際には、「針に行っても、痛みが三日で戻ってしまう」とか「アトピーでは半年通ったが、よくならなかった」などという話はよく聞きます。
鍼灸の理論を正しく実践するためには、「患者の体に触って、何が問題なのか分かる能力」と「治療した後、患者の体がどう変化したかを感じ取る能力」が必要です。
これを可能にするのが「気を感じる能力」と「脈診」です。
ところが、脈診をマスターしている、日本の鍼灸の治療家は、非常にすくなく、気まで分かるとなると、皆無に近いのが現状のようです。
整体系の治療法にも、鍼灸の治療にない優れた点も、たくさんあることは事実です。
例えば、脈診もでき、気の流れもわかり、「神様」と呼ぶ人さえいる鍼灸の先生の所へ通っていた二十五歳の女性ですが、治療を受けてしばらくしてから、手が動かなくなってしまいました。
この女性は頚椎が歪んでいたので、整体系の技術で頚椎を治療すると五分もしないうちに、手が動くようになりました。
整体系の「可動性の理論」も鍼灸の「脈診の理論」も同じ体の問題を異なった観点から見たものです。
だから「触って気の流れが分かれば、」両方を統一した理論を作ることも不可能ではありません。
二つの理論を統合すると、それぞれの理論ではできなかったことができるようになります。例えば、根治療術では、脈を診ただけで、背骨の歪みが分かります。これは整体でも、鍼灸の脈診でもできないことです。