3.脈診入門 六部定位脈診法 山下先生著
@脈診による治療は、(1)脈状を診る(2)証を決定する(3)証にしたがって治療するという順番になるので、この三つの事項について、詳述してある本でなければ、実践の役に立つとは言えない。ところが、脈診の本の多くは、証についてのみ書いてあるものだったり、古典の解釈をくどくど書いたものだったりして、脈診を学ぶという観点からすると、役に立つものは、ほとんどなかった。 しかし、山下先生著の脈診入門 六部定位脈診法は、この三つの事項について詳述してあり、「実際に脈診ができ、実践に基づいて書いた」ことを感じさせるものだった。 A脈診理論の再構築 この本の特徴は、古典を盲信することなく、鍼灸医学を成立する原理を分析し、あいまいな点を極力排除し、明確な脈診理論を再構築しようとしているところにあった。 B脈状 「脈診を難解なものにしているのは脈状が多く、その解説が難解であるためだが、脈状の基本である祖脈、浮・沈・虚・実・遅・数(さく)の六脈を学べば、すべての脈状はその組み合わせとして理解できるようになる」というのが、山下先生の脈状に対する基本的な考えだ。 確かに、浮・沈・虚・実・遅・数の六脈に絞れば、脈状は分かりやすくなる。特に遅・数は1分間に何回打つか数えればいいので、客観的な指標になる。浮・沈・虚・実も極端なものは初心者でも分かる。 C脈状の基本形陰陽虚実 証は、浮・沈・虚・実の組み合わせで決まる。浮脈は陽脈であり、沈脈は陰脈である。この四つの脈の組み合わせで、陽虚証、陽実証、陰虚証、陰実証で基本の4証となる。 D比較脈診による証の決定 六部の浮陽部の脈と沈陰部の脈を比較し、証を決定する。 F難経69難に基づいて治療点を決定する。 69難には「六十九ノ難ニ曰ク、虚スル者ハ之ヲ補イ、実スル者ハ之ヲ・・・」と経絡の虚実と母子関係に基づいて、どのように証を決め、治療すべきか書かれている。